NY1メルマガ2019年1月「大規模リストラ後の「実質賃金」が、無意味な理由」

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大規模リストラ後の「実質賃金」が、無意味な理由
2019年1月
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■それでは、真の実態は・・


では、実態は、どうなのでしょうか。


これは、会社を去った人の賃金を、
調査しなければ、なりません。


つまり、もとの会社にいた、
1000人すべてを調査して、
年収500万円が500人、
平均年収で200万円が500人、

これを平均して、
年収350万円が、
1000人というのが、
実態を反映した数字です。


月額で、
約29万1600円です。


平均年収でも、大幅に、
150万円も下がっているわけです。


もとの会社に残っている、
リストラされていない人の
平均だけを計算すると、
変わりがない、
という結果になります。


これが、
大規模なリストラ後の「実質賃金」が、
社会の実態から、
かけ離れている、理由です。


リストラされずに、
残った人の平均値ですから、
高いのは、あたりまえです。


それが、少々、上下しようが、
名目賃金と実質賃金が、
物価の影響でどうなったとか、
あまり大きな問題ではありません。


実態は、もっと、
極めて大幅な下落が、
起きているということです。



■日産のケースでも同様!


いま話題の、日産のケースでも、
今、日産にいる人の、
平均賃金は、高いでしょう。


しかし、ゴーン前会長を批判し、
会見を開いたりしている、
日産をリストラされた人は、
大幅に、賃金水準が下がっています。


いまの日本経済では、
リストラ後には、
年収が、3分の一とか、4分の一とかも、
よくある話ですね。


ですから、今いる、
日産の人の平均賃金が高いとか、
少し上がったとか言っても、
正確には、日本社会を反映していません。


リストラされた人の分を
計算しなければ、
現実には、どうなのか、
ということが、
見えてこないわけです。


ですから、実質賃金が、
上がったとか、言っていても、
大規模なリストラ後の場合は、
意味をなしません。


もっとも、
リストラされなかった人の、
実質賃金さえも、さらに、
下がっている状況というのなら、
日本は、より深刻な、
デフレ不況ということですが。



■1990年頃は、賃金横ばいで金融引き締めせず


逆のケースとして、
採用が大幅に増加している状況では、
実質賃金が上がっていなくても、
景気が良くて、
マネーの流動性が増している場合が
あります。


実際、1990年のバブルの頃は、
金融引き締めが必要な中で、
賃金が上昇していない、
という話が、
日銀から、なされていました。


つまり、賃金が上昇していないので、
金融引き締めの必要はない、
という話であったのですが、
これは、いまの日本と、
逆のパターンです。



数字の例で話しますと、
年収500万円の会社で、
500人が働いていたところに、

平均年収300万円の人が、
500人、採用された場合。


これで、年収500万円の人が、
1000人になりました。


しかし、この会社の
平均年収は、500万円のままです。


この会社では、まったく、
賃金は上昇していません。


しかし、実態は、
200万円も年収がアップした人が、
500人いる、ということです。


こうして、年収がアップすると、
コンビニで使うお金や、
外食・昼食の費用も、増えてきます。


そして、内需が良くなり、
景気も良くなる、ということです。



いまの日本は、このバブルの頃と、
まったく逆で、
年収が減った人が多くて、
外食・昼食費も減り、

先日のメルマガでもお伝えしましたが、
とうとう、デフレ業態の中でも、
「高め」のところが、
集客が厳しくなってきているのです。

(ご参考)
https://www.mag2.com/p/money/623824



■国会議員が実感するには・・


こうした側面を、
国会議員に実感してもらうには、
議員定数を、半分にしたケースで、
考えてもらえば、良いでしょう。


例えば、定数100を半分にして、
50にして、
議員報酬は、同じレベル。


すると、平均の議員報酬は、
いまと同じまま、です。


報酬は、悪くなっていないですね!
という主張が、できるわけですが、
国会を去った、
半分の50人の元議員は、
生活に困窮するケースも、
でてくるでしょう。


これで、報酬は、
これまでと同じです、という主張が、
できるのかどうか、ということです。



■好況が長続きではなく、単に不況が長く続いているだけ


いまの日本は、
好況が戦後最長ではなくて、
単に、戦後最悪の不況が、
長く続いているだけ、です。


一般国民の
貧困化や低所得化だけでなく、

大企業でも、
野村HDの1000億円規模の赤字、
曙ブレーキの私的整理、
千代田化工の、
最終赤字1000億円規模見通しなどなど、
景気が良いわけはありません。


また、街角を見ても、
東京都心部の1等地でも、
不気味な空きテナントが
出るという状況で、
書店や飲食店の閉店も相次ぎ、
戦後最悪といえます。


戦後最悪の不況を、
言い換えてみたところで、
実態は、何も変わらず、
国民も、もはや、信じようがありません。


今回の「毎月勤労統計」にしても、
リストラされた人の、
悲惨な賃金水準が、
無視されるに近いわけで、

ここは、しっかり、
本当の日本の現状を認識して、
デフレ不況対策をとるべきです。


そして、雇用の創出については、
アメリカの雇用統計のような
指標の方が、
日本の場合も、よくわかるでしょう。




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【編集後記】
リストラされずに残った人の、
賃金をみても、
あまり意味はないですね。

現状把握に重要なのは、
リストラされた人を含めた、
計算値の算出です。
(児島)

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