日本の「人手不足」は、実質的な雇用の悪化を反映しているにすぎない【NY1】2025.12.13.

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　〜2025年12月13日配信号〜

『日本の「人手不足」は、実質的な雇用の悪化を反映しているにすぎない』

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－－－－きょうのご挨拶－－－－－－

こんにちは。児島です。

「人手不足」というと、どのようなイメージを持つでしょうか？

普通は、経済や景気が上向いて、採用が増える、雇用が改善すると連想するでしょう。

しかし、日本の「人手不足」は、実は、実質的な雇用の悪化や喪失を反映しているに過ぎません。

「人手不足」=実質的な雇用の悪化、と言い換えますと、日本経済の実情の説明がつきます。

きょうのNY１メルマガです。（2025.12.13.）

－－－－－－NewYork１本勝負－－－－

■「人手不足」=採用増ではない！

日本の「人手不足」は、実は、実質的な雇用の悪化や喪失を反映しているに過ぎません。

例えば、従業員1000人の企業で、2割の希望退職や解雇で、200人の人員削減が行われたとしましょう。

これは昨今の日本では、よくあるケースです。

残った800人の職場は、当然、「人手不足」になります。

「人手不足」「人手不足」と連呼することになります。

しかし、これは、人員削減を進めているのであって、先行きの採用増を示しているわけではありません。

「人手不足」になって、実質的には、200人の雇用が失われているのです。

つまり、人員削減をした職場は、ますます「人手不足」となり、日本全体では、ますます「人手余り」になっています。

しばしば、日銀やエコノミストが言う、人手不足が日本経済の成長を抑制している、という話も、「人手不足」=実質的な雇用の悪化、と置き換えますと、すっきり説明がつきます。

実質的な雇用の悪化が、日本経済の成長を抑制している、のです。

当然、GDPは低迷し、日本全体は、ますます衰退します。まさに、「失われた30年」の日本の現実です。

■採用増や雇用改善のイメージ演出か

一般的には、「人手不足」「人手不足」と言っていると、採用増や雇用改善の先行指標のようにイメージされます。

つまり、実質は、日本全体としては、雇用が悪化しているにもかかわらず、リストラした職場が「人手不足」になったことを、経済政策のゴマカシに使っているわけです。

ですから、日本の「人手不足」を、実質的な雇用の悪化、と言い換えると、日本経済の低迷を説明できるのです。

「人手不足」が、日本経済の成長を抑制している、というのは、実質的な雇用の悪化が、日本経済の成長を抑制し、長年の経済低迷の原因となっている、というわけです。

人員削減をすれば、するほど、「人手不足」になりますから、雇用改善の意味はありません。

日銀やエコノミスト、メディアが、「人手不足」「人手不足」と言っているときは、『実質的な雇用の悪化』と置き換えましょう。

（メルマガ 2025.12.13.号より）

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【編集後記】

日銀の植田総裁は、連合の春闘を金融政策の判断材料としているようですが、日本社会の構造変化に対応できていません。

つまり、春闘以外の、日本社会全体の実情に対応しなければ、見誤ることになります。

また、インフレ率についても、日本のエンゲル係数が異常に上昇している中では、食料品のインフレ率を重視すべきです。（児島）

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