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日本は中間層を増やさないと、大変な事になる
(2017.7.17)
こんにちは。児島です。
連休の日曜日、近くの本屋さんで、歴史書をみました。ギリシャの都市国家、アテネの繁栄と衰退ですが、これは、日本の今後に、示唆を与えています。
日本は、これまでの構造改革・リストラ路線を転換し、中間層の雇用・所得第一に路線転換しないと、大変な事になります。
■アテネの繁栄と衰退
おおむね、紀元前500年とか、紀元前400年といった頃の話ですが、アテネは、海軍力と経済力で繁栄した都市国家でした。アテネは、エーゲ海を中心に、交易で栄えた都市国家でした。アケメネス朝ペルシャを海軍力などを発揮して退け、様々な産業で中間層が育ち、繁栄します。
しかし、アテネを中心とするデロス同盟と、スパルタを中心とするペロポネソス同盟は、
紀元前431年に、ペロポネソス戦争を開始。ペルシャを退けたアテネが、繁栄の一方で、帝国主義的な色彩を強め、パルテノン神殿の建設費に、デロス同盟の資金を流用するなどして、反発を受けたためです。
不運にも、アテネでは疫病が流行したほか、スパルタが、ペルシャと同盟を結んで、海上交通を抑えたため、アテネは、食料を含む、海上からの物資の流れが、ストップ。そして、ペロポネソス戦争は、紀元前404年にアテネが全面降伏して終結しました。
この流れの中で、アテネの経済的な繁栄は、中間層の増大とともに、加速し、そして、ペロポネソス戦争で、中間層が、経済活動に専念できず、没落して、富裕層と貧民に、貧富の差が拡大したことにより、アテネは、あっという間に衰退しました。
■国家の盛衰は、中間層にかかっている
アテネで思うのは、やはり、国家の盛衰は、中間層の厚さに、かかっているということです。豊かな中間層に裏付けられた、強い経済力があってこそ、平和主義での影響力は強いし、軍事の側面でも、経済力がなければ、続きません。
日本では、1990年のバブル崩壊以降、中間層は、減り続けています。このため、国力は衰退し、GDPも、先進国の中では、最低水準の伸びで、停滞しています。
景気が悪い時には、中間層を増やす経済政策が必要です。ところが、日本は、この中間層や、雇用・所得に関しては、真逆の経済政策を続けました。
普通、体調が悪い時は、体力を温存して、栄養をとりますね。そして、回復したら、またハードな活動を再開します。しかし、これが、真逆であって、体調が悪い時に、氷水の中を泳いで鍛錬したり、長距離マラソンをしたり、つまり、構造改革やリストラをすれば、日本経済が良くなるというのが、これまでの考えであったわけです。
金融政策では、景気が悪い時に、金利を上げようとか、資金を絞るということは、現在は、ありませんね。しかし、日本の雇用や所得に関しては、これが、まさに、逆の経済政策が行われたのです。
これには、既視感があります。
つまり、かつて、日銀の三重野総裁(当時)が、「平成のバブル退治」と持ち上げられ、バブル崩壊時に、金利を上げたのと、同じことです。いまでは、三重野総裁(当時)の金融政策は、誤りであるとみられていますが、当時は、もてはやされていました。
FRBのバーナンキ・前議長も、当時の日銀の政策を批判しています。そして、日本は、失われた10年から20年へ、今年は、もう27年目になります。
■雇用や所得を尺度にすると・・
見方を変えて、雇用が増えるか、所得が増えるか、つまり雇用ファーストとか、所得ファーストという尺度で、みますと、何が良いか、悪いか、経済政策の評価も、大きく変わります。
もちろん、構造改革とか、リストラは、必要ですが、それは、景気が良い時に、行うべきもので、雇用や所得にマイナスなことは、現状では避けるべきです。
中国が、なかなかバブル崩壊とならないのは、欧米流の構造改革とかリストラをそのまま行っていないからです。これが、もし、欧米流の構造改革で企業を整理しますとか、リストラが必要ということで、実行すれば、すぐに崩壊するでしょう。
中国は、日本のバブル崩壊過程を、詳細に研究しているのです。
なぜなら、景気が悪い時に構造改革やリストラをやると、デフレスパイラルのような、
ネガティブな連鎖が起きるからです。まさに、景気が悪い時に、利上げを行うようなものです。
そして、皮肉なことに、構造改革やリストラを日本が行うことが、日本経済の停滞につながり、競争相手である中国や欧米諸国を、有利にしています。日本の国力を、アップするには、すぐに、雇用や所得を第一にする政策に、転換しなければなりません。
例えば、企業の人件費カットにしても、人員削減ではなく、雇用を残したままの、給与カットであれば、回復は早かったのですが、人員削減で、所得がゼロになる人が、大勢、発生しました。
ゼロになった人は、ブラック企業であっても、何でも、働く以外にありません。生活費がゼロになるからです。そして、職の奪い合いが、ブラック企業の「生存条件」を維持し、一方で所得の極端な低下が、個人消費の低迷、日本経済の衰退につながります。
一方、こうした中でも、うまく切り抜けた企業も一部あります。
日本テレビです。
日本テレビは、全体の給与の引き下げで、臨みました。アイデアマンの宝庫の会社なので、誰か、違う方法を、思いついたのでしょう。そして、業績が良くなれば、社員食堂を無料開放したりしました。
もちろん、給与の引き下げで、有名アナウンサーが退社したり、ということは起きていますが、業績が上向けば、また給与は、容易に調整できます。
しかし、他の多くの日本企業のように、欧米式のリストラを信奉すれば、人員削減で、目先は良くなっても、結局、日本全体での個人消費や、生産性は、悪化しますから、ブーメランのように、かえってきます。
これが、ずっと日本のGDPの低迷が、続いている理由であるわけです。
生産性の話にしても、昔の日本企業には、「生き字引」とか、「ニッチ分野の天才」という人がいました。こういう人たちは、普段は、あまり働いていないように見えるので、効率化とか生産性の向上ということで、次々とリストラされてしまいました。
しかし、こうした分野の知識とか技能を、必要な場合に外部から入れるのは高くつき、場合によっては、不可能となります。ですから、あまり働いていないようにみえても、実は、生産性は高いのです。
さらに、企業の人員削減は、次のような側面があります。
すなわち、目に見える部分では、生産性を向上させているのですが、日本経済全体で見れば、生産性を低下させています。特殊な職務能力を持った人が、単純作業しか仕事がなくなり、非正規雇用などで所得も大幅に低下。
日本経済全体で見れば、欧米流のリストラは、生産性を、著しく低下させているのです。
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