NY1メルマガ2017.9.8「フランス・マクロン大統領の誤った政策」

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フランス・マクロン大統領の誤った政策
2017.9.8

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---きょうのご挨拶--------------

こんにちは。児島です。

ルペン氏への対抗馬として、人気があった、
フランスのマクロン大統領の支持率が急落。

労働市場改革などの、誤った政策を、
フランス国民に見透かされたためです。

-------------NewYork1本勝負----



■就任100日、マクロン大統領に満足は36%


ルペン氏の主張は、基本的に正しかったのですが、
トランプ大統領のようなオープンさがなかったことから、
マクロン氏は、圧倒的な人気で、フランス大統領になりました。


さすがに、大統領選挙の際の、ルペン氏の集会の動画をみると、
全体主義を連想させる、怖さが感じられました。


こうして、大統領選挙と、議会選挙で勝ったマクロン氏でしたが、
国際金融資本の「傀儡」であることがバレて、支持は急落。


フランス国民は、景気を良くしてほしいとか、
輝けるフランスを再び、という思いで、投票したわけです。


しかし、マクロン大統領は、議会で多数を握ると、解雇やリストラにつながる、
労働市場改革などを始めました。


フランスの世論調査(Ifop)で、就任後の100日の仕事ぶりに満足すると回答したのは、わずかに36%。


世論調査で、マクロン大統領の事実上の支持率が36%で、
世論の支持率の面では、政権の「危機ライン」になっています。



■「労働市場改革をすれば、失業率が下がる」は誤り


日本では、既に経験済みなので、労働市場改革をしても、
失業率が下がるとか、景気が良くなるということはない、という実感がありますが、
従来の欧米の経済学者などが、よく言うのは、「労働市場を改革すれば、失業率は下がる」です。


「賃金が下がれば、雇用は良くなる、景気は良くなる」とも言っています。


しかし、これは、特にデフレ傾向がある中では、全く誤りです。


これを、マクロン大統領が、言い始めたので、フランス国民は、反発しているのです。


日本でも、バブル崩壊後の不況に対して、
労働市場を改革し、解雇やリストラを進めれば、失業率は下がるという経済評論家がいました。


もっともらしく、聞こえる説ですが、実際は、そんなことにはなりませんでした。


つまり、解雇とリストラで、景気は悪化し、個人消費は低迷。


デフレ・スパイラルに陥るわけです。


失業率が、下がるのは、逆に、賃金が上昇していて、景気が良い時、ということになります。
1990年ごろまでの、日本です。
(いま、日本の表面上の失業率が低いのは、カウントの仕方の問題です。)


では、「労働市場を改革すれば、失業率は下がる」は、なぜ、間違っているのでしょうか。


一番、経済学者に欠落していたのは、
企業が、人件費を同額投入し続けるという前提です。


つまり、賃金が下がり、雇いやすくなれば、もっと雇用する、というのが、
経済学者の前提となっているのです。


例えば、人件費を10億円使っている企業が、
賃金の下落や、非正規雇用への置き換えで、人件費を5億円にしたとしましょう。


5億円の企業の利益が増えました。


机上の空論どおりに、5億円分、企業が採用を増やせば、雇用は、改善するのです。


しかし、実際は、この5億円は、内部留保や、配当にまわり、それで終わりです。


人件費にまわっていれば、衣食住の生活費として消費され、景気を下支えする可能性がありました。


しかし、現実では、内部留保となって資金が滞留したり、
海外の投資家に配当で支払われると、日本の消費にはまわりません。


ですから、日本で、円が不足してデフレ傾向が強いのも、
それだけ市中で流通する円が減っていることを反映していますから、
増刷して、補う必要があるということにもなります。


また、雇用に関する話の間違いは、株価の動きに例えれば、はっきりします。


つまり、経済学者や評論家が言っているのは、
株価が下がれば、「安いから株は買われる」と言っているのと同じことです。


株価が大きく下がれば、株は買われますか?
現実は逆ですね。株価が下がれば、もっと売られて、下がるわけです。暴落が起きたりもします。


現実では、むしろ、株価が上昇している方が、株は買われるのです。


ですから、雇用に関しても、賃金が上昇し、解雇が少ない方が、
失業率が下がり、消費が拡大し、景気が良くなります。


ですから、日本も、夕張市をモデルにしたような構造改革を続けていると、
ますます衰退し、生活コストの上昇、経済は衰退、住む人も出ていって減ってしまう、
という悪循環に陥ります。


それで、GDPが低迷し、国力が衰退すると、
日本は、経済力の低下による国際的な地位低下で、
周辺国の軍事的な脅威にさらられやすくもなるわけですから、
構造改革とリストラは、景気が良い時に行うべきものであるわけです。



■前提が、デフレか、インフレなのかで、話は全く異なる


紙幣の増刷や、構造改革の話は、その時点が、
デフレであるのか、インフレであるのかで、全く話が変わってきます。


これまで、日本の議論の中で、見落とされているのは、
デフレ環境なのか、通常のインフレ環境なのか、です。


インフレなら、紙幣を減らして、構造改革が必要なのですが、
今は、デフレ傾向で、前提が違っています。


バーナンキ前議長は、こうした前提によって、
政策が異なることを、よく知っていました。


ですから、リーマンショック後には、当時は非常識とも思われた、
「ヘリコプターマネー」を語っていたわけです。


逆に、日本の場合でも、インフレ率が実質ベースで2%を超えてくれば、
デフレの時には正しかった経済政策が、
今度は、正しくないということになります。


まだまだ、2%にはなっていませんが、
実際に、そうなった場合には、紙幣の流通量を減らしたり、
構造改革を始める必要がでてきます。



※このメルマガは、長期の景気循環を念頭に、経済のファンダメンタルズについて書いたもので、
短期的な個別株式、為替の値動きを示唆するものではありません。
※情報の収集には、万全を期しておりますが、記事による、いかなる損失にも、責任を負うことはできません。

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