デフレの「副作用」を言わず、マイナス金利の「副作用」論調が目立つ(2020.1.23メルマガ)
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こんにちは。児島です。 日銀の金融政策決定会合について、 報じる論調をみますと、 デフレの弊害や副作用を言わずに、 マイナス金利の副作用だけ言う論調が、 目立ちます。 デフレやマイナス金利の 意味がわかっていないのか、 知らないふりをしているのか? きょうのメルマガです。
■ウソだった、「賃金の下方硬直性」
まず、デフレの問題での重要点は、 「賃金の下方硬直性」が 存在しないことです。 「賃金の下方硬直性」という言葉は、 聞いたことがあると思いますが、 要するに、物やサービスの価格が、 下がることはあっても、 賃金は下がりにくいという、 従来は、信じられてきた通説です。
しかし、この「賃金の下方硬直性」は、 インフレの経済で、 労働需給が引き締まっている場合のみ有効、 ということだったのです。
これは、多くの国民が実感していますが、 賃金は、簡単にゼロになったり、 3分の一になったり、するのです。 それは、物価の下落以上の幅です。 リストラで解雇されたり、 雇い止めとなった場合です。
もしも、インフレの時代であって、 代わりに職がある場合は、 それほど賃金は、下がりません。 雇用情勢が良ければ、 他の会社に移れば、良いからです。 しかし、デフレの時代は、 現実として、代わりの職、 仕事がありません。 そのため、ブラック企業に移るとか、 全く収入を失ってしまうということが 起きるのです。 要するに、多くの日本国民の、 行き場がない、という、 深刻な状況です。 これが、いまの日本で起きているのです。
日本も、戦後の経済成長の時期には、 これほどのことは、ありませんでした。 ある会社に「捨てられ」ても、 人材を求めている他の会社が、 あったからです。 しかし、いまは、リストラ、倒産、閉店などで、 実際の雇用は悪化しています。 労働需給は、ダブダブな人余りで、 かつての、昔の日本のように、 代わりの職、仕事がありません。 そのため、ブラック企業に追いやられたり、 極度の貧困生活となる人が、 続出しているわけです。
日本では、こうしたデフレの弊害、副作用が、 深刻化しているのに、 日銀の金融政策決定会合の報道は、 本命の話をしないで、 マイナス金利の「副作用」ばかりを、 言っているケースが多いですね。 日銀は、既に金融緩和機能を喪失しており、 そのためにデフレが続いているのです。
■トランプ大統領は、さらに中間層の減税をぶちあげている
一方、アメリカでは、 日本と逆の経済・金融政策がとられています。 アメリカ国内での 労働需給を引き締めるために、 移民の流入を抑制し、 工場の海外移転を牽制しています。 FRBも、トランプ大統領と、 ギクシャクしましたが、 その後、 インフレ率が上昇してこない現象を把握して、 利下げしました。
日本は、金利が高め、 (=インフレ率と同水準、「高低」の基準はインフレ率)、 消費増税、リストラや閉店も続出という、 アメリカと逆のことをしています。
こうした中で、 アメリカのトランプ大統領は、 さらに、中間層向けに減税を行うと、 ぶちあげました。 もちろん、大統領選挙対策、 という側面はありますが、 アメリカの景気を良くして、 国民生活を豊かにし、国力を充実するには、 「王道」の政策です。
かつて、トランプ大統領が登場したときは、 多くのメディアが、 トランプ大統領で大恐慌になる! と騒ぎ立てていました。 しかし、経済政策が正しいので、 アメリカの景気は、どんどん良くなっています。 いったい、 何を根拠に騒ぎ立てていたのでしょうか? トランプ大統領が、 アメリカの景気を良くすれば、 当然、日本の経済・金融政策の誤りが、 あぶりだされるので、 それを避けようとしたのでしょうか?
■マイナス金利の「副作用」も、誤った論調
マイナス金利の「副作用」も、誤った論調です。 それは、デフレにより、 過剰な利潤を得ているのを、 温存しようというだけの話です。
例えば、1000億円持っている人がいるとします。 インフレ率2%という、 通常の経済状況(インフレ率2%は、実は下限であり、 2%でも、かなり低いインフレ率である。)では、 翌年には、1020億円を払わなければ、 1年前と同じ商品やサービスは買えません。 2%分、値上がりしているからです。
先日、ZOZOの創業者(=前社長)で、 大半の自社保有株式を売却した、 前澤友作氏が、 千葉県館山市に20億円を寄付して、 話題となっていました。しかし、これも、 インフレ(時代)とデフレ(時代)の違いでは、 実は、通常の消費とは別に、 同様の金額を、毎年寄付し続けて、 以前の日本と同じぐらい、ということです。
1000億円の2%は、 20億円ですが、 同様の寄付は、1回だけではなくて、 毎年継続した場合、です。 インフレ率は、このように、 現金や普通預金を、 かなり目減りさせているというのが、 普通の経済の状況なのです。
■インフレ率2%で計算してみると・・
正確にインフレ率2%で計算しますと、 1000億円は、1年後には、
1000億×(1020億分の1000億) =980億3920万円の価値
(1年前の現金の価値での表示)に、 減価しています。
1年間のインフレ(2%)の場合、 商品は、1年後に、 1020億円に値上がりしています。 手持ちの1000億円に、 20億円を加えないと、 1年前と同じ買い物 (=1年前の1000億円分)は、 できない、というわけです。
こうして、 1年前の現金の価値で計算すると、 1年後の現金は、980億3920万円に 減価したことになるのですが、
1000億×(1020億分の1000億) =980億3920万円
同様に、次の年(最初からの2年後)には、 またインフレ率の2%分が、 自動的に、減価することになります。
商品は、次の年も2%値上がりし、 2年後の商品価格は、 1040億4000万円に 値上がりしています。
1000億×1.02×1.02 =1040億4000万
(1020億×1.02=1040億4000万)
最初の年の1000億万には、 40億4000万円を足さないと、 2年後には、同じ商品 (最初の年に1000億円で買えた商品)は、 買えません。
1000億×(1040億4000万分の、1000億) =961億1690万
つまり、最初の現金の価値で見れば、 2年後には、 961億1690万円の価値に 減価していることになります。
別の見方をしますと、 最初に、すぐ961億1690万円分の 商品を買った人と、 2年後に、 1000億円を支払って買った人は、 同じ商品の量を得る、ということです。商品が、2%ずつ、 値上がりしているからです。
このように、これが10年間ですと、
1000億×1.02(1年後)×1.02(2年後) ×1.02(3年後)×1.02(4年後) ×1.02(5年後)×1.02(6年後) ×1.02(7年後)×1.02(8年後) ×1.02(9年後)×1.02(10年後) =1218億9800万
こういう数字となります。 つまり、インフレ率2%が10年間だと、 最初に1000億円で売っていた 商品の価格は、 1218億9800万円に 値上がりしていることになります。 同じ物が、ですよ。
このインフレ率2%は、 実は、かなり低めですが、 2%であっても、10年後には、 218億9800万円を足さないと、 同じものは買えない、ということです。
これだけ、現金や普通預金は、 かなり減価するのが通常で、 10年後の場合の減価は、 1000億×(1218億9800万分の、1000億) =820億3580万
つまり、最初の1000億円を、 そのまま10年間保有した場合、 最初の現金の価値で測ると、 820億3580万円分しかない、 ということです。 インフレ率2%という低インフレでも、 これだけ現金が減価するのが普通なのです。 これが、一般的な、 3%とか4%のインフレでは、 もっと大きな減価となりますね。 計算してみると、驚くことになるでしょう。
このように、 インフレ率2%でも、10年間で、 ざっと2割の減価というわけで、 これが1兆円でも約2割、 10兆円でも、約2割減価であって、 これが通常の経済の姿なのです。 ですから、 お金を早く使おうということになり、 それが経済を回転させているわけで、 過剰な現金の滞留は、 減価というぺナルティがあるため、 継続しにくいのです。
また、このインフレによって、 経済格差の是正も、進みます。 多額の現金を、そのまま保有しても、 減価するからです。 同様に、借金も減価されるため、 借金の返済は、楽になります。 これで、日銀の政策が、誰を利して、 国民の多くを苦境に陥れているのか、 はっきりわかるでしょう。
企業の巨額の内部留保にしても、 日銀が、インフレ率を存在しないものとした、 金融政策の「映し鏡」に過ぎません。 企業担当者は、 当然、内部留保にするでしょう。 以前なら、10年間で約2割減価した現金が、 ほとんど減らないのですから。
日銀の金融政策の「おかげ」で、 10年間なら、巨額現金の約2割も、 プレゼントしてもらっているわけです。 それが、失われた日本は、いったい何年間でしたか?
これは、極めて「おいしい話」ですよね。 一般国民の犠牲の上で、ということですが・・
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【編集後記】
アメリカ経済が、良くなっているのに、 ほとんど無視する、日本政府とメディア。 さすがに、一般国民も、 何かおかしいと、 感じ始めているでしょう。 (児島)
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