【NY1メルマガ】日銀は、実は「金融緩和」をしていない。デフレが続くわけだ(2020.1.21メルマガ)

日銀は、実は「金融緩和」をしていない。デフレが続くわけだ(2020.1.21)  



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こんにちは。児島です。 
日銀の1月の、金融政策決定会合が終わり、 メディアは、「超低金利を維持」とか、 「大規模金融緩和策を維持」などと 報じています。 しかし、これは、 明らかに誤解を呼ぶ表現です。 日銀は、「超低金利」にしていませんし、 「大規模金融緩和」もしておらず、 このためデフレが続き、金融引き締めで 融資を受けられない中小零細企業が続出。 閉店や倒産も増加しているわけです。 きょうのメルマガです。 


■日銀、現状政策維持。物価見通しを、また下方修正 

 日銀は、金融政策決定会合を開き、 現状の金融政策の維持を決めました。 メディアでは、「超低金利を維持」とか、 「大規模金融緩和策を維持」などと 報じられていますが、 これは、国民を誤解させ、日銀自身も、 いい気にさせて、 対応を誤らせることになります。 日銀は、実は、「超低金利」にもしていないし、 「大規模金融緩和策」もしていないのです。 

 同じようなことは、1990年のバブル崩壊当時にも、 ありました。 1990年の初めから、突然、日経平均は暴落を始め、 本来は、日銀は、金利を引き下げるべき事態です。 ところが、当時の三重野総裁は、「平成の鬼平」とか、 「バブル退治」とか、メディアに持ち上げられて、 逆に政策金利を引き上げたのです。 

 この当時も、バブルが崩壊を始めた際に、 金利を引き上げて、 バブル退治をするのが良いという、 誤ったイメージが、広まっていました。 メディアは、三重野総裁(当時)を持ち上げ、 金融政策とは、何なのか、という、 初歩的な検証を怠ったのです。 

 それが、バブル崩壊後の日本に、 大きな禍根を残すわけですが、 デフレが長期化している今回も、 日銀の金融政策を検証していません。 検証するまでもなく、 ただ、日本のインフレ率(物価)と比較するだけ、 なのですが・・ 


■物価見通しを下方修正 

 今回の展望リポートで、重大な問題は、 また、物価の見通しを下方修正している点です。

(2019年10月時点の見通しとの比較) 
2019年度の物価見通し +0.7% → +0.6%(今回) 
2020年度の物価見通し +1.1% → +1.0%(今回)  
2021年度の物価見通し +1.5% → +1.4%(今回) 

 すべて、0.1%ずつ、 引き下げているわけです。 日銀は、消費増税や教育無償化の影響を除いた 試算も行っていますが、 すると、2019年度の物価見通しは、 わずか+0.4%です。 これだけ、何年も「対策」を実施して、 わずか、+0.4%というのですから・・ 驚きですね。 

 このように、 下方修正が、続いているということは、 要するに、日本は、 どんどんデフレ基調になっているわけです。 FRBや英国のイングランド銀行が、 インフレ率の見通しを変えると、 マーケットは大きく反応しますが、 それは、中央銀行として、 今後のインフレ率がどのようになるのかは、 非常に重要なためです。 ところが、日本のメディアでは、 金融政策の維持を主なテーマとしており、 物価の見通し(インフレ率の見通し)が、 小さく扱われていることがわかります。 これは、国民や、日銀自身を、 誤らせることになるわけです。 


■金融緩和かどうかは、インフレ率との比較で決まる 

さて、金融緩和かどうかは、 数字が小さいか、大きいかでは決まりません。 つまり、その国のインフレ率(物価)の 水準との比較で、決まるのです。 

政策金利0%は、 金融緩和か、金融引き締めなのか? これは、いずれのケースもあります!! つまり、インフレ率(物価)が、 マイナス2%だったら、 金融引き締めです。 0%でも、金融引き締めなのです。 インフレ率が、プラス2%なら、 立派な金融緩和です。 

どういうことかと言いますと、 基準は、インフレ率で、 政策金利が、それよりも、かなり高い場合は、 金融引き締め。 低い場合は、金融緩和です。 ですから、インフレ率が0%近辺で ウロウロしている日本の場合は、 マイナス1%とか、マイナス2%なら、 金融緩和です。 

現状のように、マイナス0.1%で、 しかも、それも「骨抜き」という場合は、 中立です。 中立ということは、日本の激しいデフレを、 このまま持続させる作用が働く、ということです。 ですから、当然、日本のデフレは続き、 倒産・閉店が続出、リストラで雇用も弱い、 という現象を引き起こします。 いまの日本は、そのまま、その通り、ですね。 

もし、インフレ率が0%近辺で、 政策金利がプラス1%とか、プラス2%なら、 金融引き締めですが、かなり強烈でしょう。 


■トルコは、11.25%で、やや金融緩和 

 トルコは、今年1月16日に、 政策金利を12%から、0.75%利下げして、 11.25%にすると発表しました。 エルドアン大統領の意向を 受けたものとみられています。  
政策金利11.25%というと、 かなりの金融引き締めか、と思えますが、 トルコの場合は、 直近(2019年12月)のインフレ率が 11.84%です。 ですから、インフレ率よりも、 政策金利が0.59%低いわけで、 この11.25%という政策金利であっても、 金融緩和気味なのです。 ですから、再び、 インフレ率が上昇するのではないかと、 警戒されています。 

政策金利11.25%という数字だけを見れば、 「金融引き締め」に見えると思いますが、 これも、インフレ率との比較になりますので、 これは金融緩和気味、ということです。 


■日銀が金融緩和をしていないことは、明らか 

このように、日銀が、メディアが言うような、 「超低金利」や「大規模金融緩和策」を していないことは、明らかです。 極めて、単純な話なのですが、 日銀を「忖度」しているのか、 メディアは、こういうことは、 あまり言わないのです。 メディアがきちんと、 金融政策をチェックできなければ、 日本のデフレが終わることもない、 ということで、 日本は、ますます国民生活の困窮化、 売り上げの低迷が、進んでいる、 というわけです。

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【編集後記】
いったい、いつになれば、 このような基本的な金融政策の話が、 できるようになるのでしょうか? メディアの責任も、重大ですね。 (児島)


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