NY1メルマガ2018.9.14「なぜ?長期金利、異常に下げる日銀」

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なぜ?長期金利、異常に下げる日銀
2018.9.14
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■ムニューシン財務長官は、短めの米国債を大量発行


日銀のオペレーションで、日本国債との関連が、
言われるわけですが、

アメリカのムニューシン財務長官は、
期間が短めの米国債を、大量に発行して、
資金を調達しています。


ムニューシン財務長官は、
さすがに、アメリカの投資銀行、
ゴールドマン・サックスの共同経営者を、
長年勤めただけあって、
そのあたりは、よく心得ています。


ですから、日本も、短めの国債を大量発行して、
それを日銀が、買い上げれば、よいわけですが、
日銀は、長期国債を中心に、買い入れています。


なぜ、短期国債でなくて、長期国債なのか?


これが、日本のデフレ基調に、つながっています。



■住宅ローン金利の議論も、意味はない


よく、長期金利が上がれば、住宅ローンの金利が上がって、
大変、という話を、聞くでしょう。


この話は、その場で聞くと、もっともらしいのですが、
これは、意味のない議論です。


不動産投資をやっている方は、すぐにわかりますが、
住宅ローンは、金利が高いか、低いか、よりも、
融資が受けられるかどうか、
コチラの方が、はるかに優先度が高いからです。


いくら、金利が低い、ゼロ近辺、といっても、
デフレで所得が低下し、非正規雇用になれば、
住宅ローンを申し込んでも、
金融機関の審査で落とされます。


つまり、
金利が高いか、低いかという議論は、
みんな、同じように、
融資を受けることができるというのが、
話の前提なわけですが、

実際は、融資を受けられるか、受けられないか、
こちらの問題であるわけです。


ですから、ゼロ金利の住宅ローンが、受けられないよりも、
昔の日本のように、3%でも、4%でも、
景気が良くて、雇用が安定し、住宅ローンを受けられる方が、
はるかに、良いわけです。



これは、中小企業などへの融資も同様です。


長期金利が上がれば、良くないという話ではなくて、
全く融資が受けられないことが、困るわけです。


金利ゼロ%付近の融資は、全く受けられないで、
金利10%なら、融資可能という場合は、
10%の方が、企業には、良いわけです。



いずれの話も、
そもそも、表面上の金利が低くても、
まったく融資が行われなければ、無意味というわけで、

それよりも、長期金利が高くても、
経済が活発で、高い金利で融資が行われる方が、
はるかに良い、ということです。


このように、
長期金利を下げるメリットは、見あたらず、
市場に任せるのが、良いわけですが、

日銀は、長期金利にこだわり、
短期金利は、あまり下げようとしません。


これは、デフレ脱却をめざすならば、
大いに疑問な、オペレーションです。




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