NY1メルマガ2018.5.3「物価上昇率2%に自信をみせるアメリカ。日米の明暗の差は・・」

『メルマガ読者サロンページ』
ご自由にお読みいただけますが、初回のみ、無料メルマガにご登録下さい。
→まだ、無料登録がお済みでない方は、こちらから。

物価上昇率2%に自信をみせるアメリカ。日米の明暗の差は・・(2018.5.3)

こんにちは。児島です。 アメリカの金融政策を決める、FRBのFOMC会合が、開かれました。 金利は、予想通りの据え置きでしたが、FOMC声明では、物価上昇率2%を達成した自信が伺えました。 ■「中期的に2%付近で推移」 アメリカの金融政策を決める、FOMC会合(米連邦公開市場委員会)が開かれ、日本時間の5月3日未明に、結果が発表されました。 金利は、予想通りの据え置きでしたが、今回の声明文では、アメリカが、物価上昇率2%を達成したことへの自信が伺えました。 「インフレ率は、中期的に、目標の2%付近で推移すると見込まれる。」 インフレ率=物価上昇率ですが、アメリカは、2%の目標を達成し、正常な経済状態へと戻りつつあります。

「中期的」としている意味は、大きいです。これは、瞬間的に、物価上昇率が2%になる、ということではなくて、常に、2%を維持する、という意味です。

世界経済は、インフレ率が消滅するという、異常事態が続いていましたが、アメリカは、ここから脱出。

ついに、元の、インフレ率(物価上昇率)がある、ノーマルな経済の世界に、戻ってきている、ということです。

(ご参考:4月26日記事)
ドル全面高。アメリカは金利3%で、デフレ脱却の優等生
http://archives.mag2.com/0000270230/20180426083654000.html


■日米の差は、中央銀行のレベルの差

日本では、物価上昇率(インフレ率)が上がらずに、デフレ基調が続いています。日本国民は、大変な事態が続いて続いているわけですが、この、日米の違いは、中央銀行の金融政策のレベル、実力の差です。

アメリカは、リーマンショック当時の、FRB議長であった、バーナンキ氏の手腕が大きいです。

バーナンキ氏は、デフレ研究の専門家で、第二次世界大戦の前の、大恐慌やデフレについて、詳しかったのです。このため、どのような金融政策が正しく、何が正しくないか、よくわかっていました。

とにかく、需要が増え、雇用が増えることが第一で、実質金利を下げる必要性についての考え方に、ブレがなく、そのまま実行したのです。

デフレや恐慌が、よくわかっていなかった人からは、「ヘリコプターマネー」と、揶揄されましたが、それは、金融政策として、必要不可欠だったのです。


一方、日銀は、黒田総裁の金融政策、「黒田バズーカ」で、一定の効果は上げたものの、
いまだに、デフレにあえいでいます。多くの日本国民の生活は、改善せず、デフレの長期化で、むしろ悪化しています。

「朝マック」の値下げにみられるように、国民の懐事情に対応する形で、明らかに、デフレが続いているわけです。

(参考記事)マクドナルドは、「日本をデフレ」と認定。
http://www.mag2.com/p/money/426191




■「実質金利」の理解の違い


さて、日米の金融政策の、何が違うのでしょうか?それは、「実質金利」に対する認識です。アメリカは、景気が悪くなったり、経済恐慌が起きると、すぐに、実質金利をマイナスにします。

実質金利のマイナス政策です。

アメリカは、マイナス金利は、していないですよね?

いえ、これは、名目金利の話で、実質マイナス金利は、アメリカのFRBは、機動的に行うのです。アメリカの名目の物価上昇率(インフレ率)は、日本より、高めなので、実質金利がマイナスになっても、名目の金利は、マイナスにはならないのです。

例えば、金利5%として、これは、金融緩和的でしょうか、金融引き締めでしょうか?

ゼロ金利よりも、金利は高いよね、つまり、金融引き締めだね、と考えがちですが、これは、そうとは限らないのです。

同じ、金利5%でも、物価上昇率(インフレ率)が、7%の場合、金融緩和です。経済の刺激効果は、強いです。

一方、物価上昇率が、3%の場合は、金利5%は、金融引き締め傾向です。経済の過熱を抑制します。

つまり、名目の数字が、高いか、低いかは、大きな問題ではなくて、(注:インフレ率との)その「差」である、実質金利が問題なのです。

ここまでの話で、お分かりのように、日本は、金融緩和ではなかった、のです。


■微マイナスで躊躇した、日銀

日銀が、マイナス金利に踏み切ったことは、評価できるのですが、その後が、よくなかったのです。つまり、名目金利、表面的な金利の数字に、とらわれてしまい、微マイナスで、止まってしまったからです。

日本の物価上昇率では、もっとマイナス幅を拡大しなければ、金融緩和にならないのです。

マイナス金利は、大きな「発明」です。それまでは、金利は、ゼロより下げることが、
できませんでした。

つまり、物価上昇率(インフレ率)がマイナスになると、金利がゼロで、物価上昇率は、どんどん下がります。いわゆる、デフレの局面ですが、すると、ますます、その「差」である、実質金利が上昇することになります。

利上げしなくても、強力な金融引き締めになるという、悪循環のスパイラルに陥るのです。

金融緩和すべきところが、金融引き締めとなって、ますます、恐慌が激しくなる、というわけです。これが、まさに、日本で起きたことです。

ですから、日本の物価上昇率が、ゼロより上であれば、マイナス金利は、必要ないのですが、物価上昇率がゼロより下になり、デフレ基調の場合は、それに合わせ、金利のマイナス幅を拡大する必要がある、ということです。

日銀は、実質金利について、国民に説明し、マイナス幅を拡大する必要があったのですが、名目の金利がマイナスになることへの批判を恐れ、微マイナスで、やめてしまった、これが、失敗の原因です。

このあたりが、ヘリコプターマネーと批判されても、実行する、バーナンキ氏の「果敢さ」と、微マイナスで躊躇する、日銀の違いです。


■ECBをみれば、言い訳にならない、インフレ率の低さ

日本は、アメリカよりも、物価が低迷したのだから、仕方がないのではないか、という見方もあるでしょう。しかし、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁をみれば、その言い訳も、通用しないことがわかります。

欧州も、日本に似て、インフレ率(物価上昇率)は、アメリカよりも、低めです。しかし、マイナス金利の導入に、躊躇がありませんでした。そして、ECBも、アメリカに続いて、物価の上昇へと、歩みを進めています。つまり、欧州も、元のノーマルな、インフレ率のある、経済へと、少しずつ、歩んでいるのです。

欧州では、インフレ率(物価上昇率)にあわせて、マイナス金利幅を拡大する国も、相次いでいます。これは、実質金利についての認識が、しっかりしている、ということです。

デフレ基調の場合(=物価上昇率がマイナス)は、マイナス金利の幅を、躊躇なく拡大しています。

このように、いつまでも物価上昇率2%を達成できない日銀は、実質金利を軽く見ているか、国民への説明を避けて、立ち止まっている、よって、デフレは続き、日本国民の生活は、苦境が続いている、ということです。

あまり、難しいことはしなくても、実質金利を、見合った水準にして、短期金利を低めに誘導すれば、デフレは解消に向かうのですが、これが、できないわけです。



【まぐまぐ無料メルマガ】
ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!
https://www.mag2.com/m/0000270230.html
(無料購読)
【まぐまぐ大賞2018】ランキング入り
ニューヨーク1本勝負「連動メルマガ」(月額330円税込・週1回) 
http://www.mag2.com/m/0001682243.html 
【世界の最新・軍事情報】foomii 
NY1メルマガ(月額1100円税込・週5日)  
https://foomii.com/00173 
(foomii)

コメント