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残業代ゼロ法案、欠けている議論は、景気のタイミング
2017.7.20
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---きょうのご挨拶--------------
こんにちは。児島です。
残業代ゼロ法案が、注目されていますが、
欠けている議論は、どのような経済サイクルで、
導入するか、という部分でしょう。
-------------NewYork1本勝負----
■「残業代ゼロ法案」正しい?間違い?
「残業代ゼロ法案」自体が、良いのか、悪いのかという
議論は、行われています。
見ていますと、議論が、この点に終始しています。
これは、金融政策に例えますと、「利上げ」や「利下げ」が
正しいか、正しくないかという議論に似ていて、結論が出ません。
「利上げ」や「利下げ」は、経済状況によって、
良い時も、悪い時もあるからです。
例えば、景気が過熱し、人件費が高騰する状況では、
「残業代ゼロ法案」は、意味を持つでしょう。
日本でいえば、1988年とか、1990年ごろまでの
景気が過熱した状況です。
こうした時期に導入すれば、プロフェッショナル型の労働形態が、
育つ可能性があります。
また、過度な人件費の膨張に、歯止めをかけるという意味もあるでしょう。
一方、現在のような、経済の調子が悪い時期では、金融政策に例えると、
これは、金融引き締め型、「利上げ」のような効果を及ぼします。
つまり、雇用や所得に関しては、デフレ要因です。
ですから、この「残業代ゼロ法案」のようなタイプは、
景気が異常に強い時に導入して、人件費の高騰を抑制し、
一方で、景気が悪い時期は、
凍結や撤廃をして、雇用や所得の下支えを行うことが、向いています。
■まだ景気は過熱していない日本
デフレ不況が長く続いた日本では、残業代がそもそもゼロという会社が、珍しくありません。
私も、かつて、いわゆる「ブラック企業」に、半年ほど、お世話になったことがあります。
朝は8時から会社の掃除。仕事が終わるのは、毎日23時とか24時。
休みは、1ヶ月に1日か、2日ぐらいです。
掃除すること自体は、良いことですが、深夜までの連続勤務がある場合は、
長期間労働による疲労が積み重なることになります。
20数万円の固定給なので、残業代はゼロです。
アホらしいので、21時ごろに、帰ろうとすると、
前任者は、「まだ、いた方がいい」とアドバイス。
結局、社員は、短期間で次々と辞めますが、
日本の雇用は、だぶついているので、次々と、新しい社員が入社します。
欧米では、ブラック企業は、すぐ社員がいなくなりますが、
日本では、雇用の需給がゆるく、人の供給過多なので、存続できるのです。
さて、この会社では、さすがに、前任者も辞めることになりましたが、
辞めるまでの1ヶ月間、前任者は、朝から晩まで、社屋まわりの樹木の伐採作業をさせられていました。
これを見た私も、辞めることにしたわけですが、
日本で「電通問題」がクローズアップされているのは、改善の兆しではありますが、
デフレ不況が長く続いた日本の現状では、残業代ゼロやボーナスゼロが、普通になっているのです。
ですから、現在の経済状況では、「残業代ゼロ法案」は、
景気回復にブレーキをかける、デフレ型ということになります。
金融政策でいえば、景気が悪い時に、金融引き締め策、「利上げ」を行うようなものです。
現状のままでは、残業代を払わない「ブラック企業」に、
お墨付きを与えることになってしまうでしょう。
日本の景気が良い時なら、「残業代ゼロ法案」は、新たな雇用形態を生み出し、
人件費の抑制や、新しい働き方を生み出す可能性もありますから、
日本経済の景気が過熱した場合に導入し、
景気が悪くなったら、凍結や撤回をして雇用や所得を下支えするというのが、よいでしょう。
■急がれる、日本のGDP成長
日本は、早くデフレを脱却し、経済を回復しなければ、
前回のメルマガで書きましたように、貧富の差の拡大による国力の衰退、周辺国の侵攻による、
滅亡や属国化という、歴史上の経済国の盛衰と、同じ歩みの危険があります。
共通しているのは、
中間層の没落→富裕層の台頭と貧困化(貧富の差の拡大)→経済(国力)の衰退
→周辺国による侵攻→滅亡・属国化
こういう流れが、歴史上、非常に多いです。
いち早く、GDPを成長軌道に乗せ、中間層を復活させなければ、
喜ぶのは、日本の競争相手や敵対国ばかり、ということですから、国力の充実が急務なわけです。
日本の「残業代ゼロ法案」で、実は喜ぶのは、欧米と中国、ということがないよう、
雇用や所得第一による、GDPの成長路線を確かなものにする必要があります。
※短期的な個別株式、為替の値動きを示唆するものではありません。
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