NY1メルマガ2017.1.3「新・所得倍増論」書評

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「新・所得倍増論」書評    
2017.1.3

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こんにちは。児島です。
きょうは、デービッド・アトキンソン氏の
「新・所得倍増論」の書評です。
(東洋経済新報社)

3割ぐらいは、私も同じ意見ですが、
ちょっと全体的な感じでは、同意できないですね。


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■日本の生産性の低さを中心議題に

デービッド・アトキンソン氏は、日本の観光立国を薦めた本も
出版した、元・ゴールドマンサックスのアナリスト。

イギリス人で、現在は、日本に住み、
国宝の修復などを行う小西美術工藝社の社長です。

本の中では、日本の生産性の低さは、経営者に問題があるとしていますが、
本の全体的な印象では、日本の生産性の低さが強調されています。


最初に、よくわからないのが、この本が、経営者に呼びかけたものなのか、
一般国民に呼びかけたものなのか、です。

経営者に問題があり、経営者に呼びかけたものであれば、
一般国民には、あまり、意味がありません。
(本では、生産性は、労働者が改善するものではないとの内容もある)

しかし、新・所得倍増論というタイトルや、著書という形での発表は、
一般国民を対象にしているように見えます。

全体的には、日本人が生産性の高い働き方をしていない、
ということを言いたいの?という印象です。

日本人の自虐志向に乗ろうという、出版社の販売戦略なのか、
ご本人のご意向がどちらなのかは、よくわかりません。


■世界ランキング上位に、産油国がいっぱい

著書の中で、1人あたり生産性のランキングが、出ているのですが、
トップ10位以内には、カタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦が、
続々。

ちなみに、トップは、カタール。

もっとも、中東の産油国の、最近の努力は目覚ましいですが、
上位で生産性が高いのは、産油国となっています。

本では、この説明が、ほとんどなく、産油国の生産性が高い理由が、
示されていません。


前にも、このメルマガで触れましたが、
この点では、「生産性」という言葉(日本語)に、違和感があるのです。

日本語で、生産性と言えば、しっかり働いているとか、怠けているとか、
そういう意味を連想します。

しかし、国際比較をみて思うのは、これは、「生産性」ではなくて、
「儲け易さ度ランキング」とか、「儲け度ランキング」という方が、しっくりきます。


つまり、カネまわり(マネーの動き)が、良い国では、「生産性」「儲け易さ度」は、
高くなります。

産油国が、まさに、そうですね。

さらに、軍事力の背景があるアメリカとか、EUの交流が盛んな欧州の方が、
経済面でも儲けやすいというのも、あたり前です。

なので、「生産性」という言葉を使って議論するのは、おかしいです。


ですので、この本の出版は、はたして何を意図しているのか?

日本人は、生産性が低いから、もっと働け!?

よくわかりません。


本を見ても、「大企業経営者は、もっとこうしろ」とか、
そういう書き方の印象は、それほどありません。

一般人が、普通に読めば、日本は生産性が低いから、
文句を言わずに、もっと働かなければならないのか、と思いがちです。

「日本の大企業経営者に告ぐ!」とか、
「日本の大企業は、経営を変えろ!」

と書いていれば、わかるのですが、そうではないですね。

いわゆる、「日本人反省モード」です。

「新・所得倍増論」というネーミング自体は、よいのですが、
中身が、よくわかりません。


■同意できる点は・・

本の内容で、同意できる点は、

買収にさらされない日本企業(=経営者が安泰)が、アベノミクスを妨げている。

欧州の中堅国を見習うべき。

日本の貧困化は、先進国で最悪レベル。


買収に関しては、買収がないと、内部留保を貯め放題となりますから、
「天敵」が必要になります。

また、北欧は、私自身、そんなに休み多いの?とか、
それぐらい(失礼)の仕事で、給料も給付も?
という驚きがあり、国会も、まったく男女半々。

ですから、北欧諸国を研究することは、おおいに必要だと思います。


さらに、日本の貧困化は、これまでもメルマガで指摘したとおり。

低所得者への給付を、欧米諸国並みにすれば、
デフレ緩和、賃金上昇、消費が増え、GDP上昇、となるでしょう。

ドイツでは、難民に、当面の「こずかい」も渡しているぐらい。

でも、これは、結局ドイツ国内で、モノを買って消費されるので、
「公共事業」「景気対策」になるというわけです。

低所得者への給付は、貯めこまれずに、ほぼ、そのまま消費されますから、
GDPが個人消費中心となっている今の日本では、景気刺激効果は、大きいです。

難しいことは、しなくても、雇用を元に戻すか、
低所得者への給付を欧米並みにすれば、日本経済は、すぐ復活するはずです。


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